「歯医者が怖くて定期検診に行っていない」なんて人も多いのではないでしょうか。予防歯科に定期的に通うことで、将来自分に残る歯の本数は大きく違ってきます。また高齢になっても介護に頼らない「健康寿命」も延ばすことができます。そこで今回は以下の内容について説明します。
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自分の歯を失って初めて大切だと気づく人もいます。大切な歯を失うことを防ぐためにも、予防歯科について知りましょう。
予防歯科とは、患者さんに定期的に来院していただき、むし歯や歯周病などのお口の中の病気が発症したり、悪化したりしないように検査、治療、生活指導を行うことです。
そうすることで、普段からお口の中の環境を整えて、歯の寿命を長持ちさせることができます。
予防歯科では1本でも多く自分の歯を残すことを目的にしています。自分の歯を多く残すことのメリットはとてもたくさんあります。(後述します)
予防歯科を行うことで、むし歯や歯周病のリスクを減らすことができます。もしむし歯が見つかっても早期発見できるため、悪化しないうちに治療することができます。
若い頃から予防歯科を受けることで、普段から患者さん一人ひとりのお口の中の状況に合った、適切な歯みがきを行うことができ、将来的に歯を失うリスクを大幅に減らすことが可能です。
「8020運動」をご存じでしょうか?80歳で自分の歯を20本以上残そうとする運動で、厚生労働省や日本歯科医師会が推進しています。ちなみに歯は全部で28本(親知らずを含めない場合)あります。
自分の歯が20本残っていれば、一生おいしく食事をすることができ、全身の健康にもつながります。
日本では痛くなったら歯医者に通う人が大半ですが、欧米諸国では痛みが出る前に予防歯科へ通うことが一般的です。
2012年の厚生省国民健康白書統計によると、予防先進国と言われるスウェーデンでは80歳以上の方のほとんどに20本以上歯が残っています。
一方、日本では80歳以上の人で歯が20本以上残っている人の割合は全体の40%程度です。(参考:厚生労働省 平成28年歯科疾患実態調査) 年々増えてはいるものの、スウェーデンと比べると半分ほどの数値です。
予防歯科には多くのメリットがあります。ここでは予防歯科のメリットを8つ紹介します。
むし歯は初期のうちは痛くなく、自分でも気づきません。痛くなったむし歯は、かなり進行していることが多く、たとえ治療しても完治は難しく、その後の歯の持ちは悪くなります。
歯周病にいたっては、痛みを感じることなく進行し、気がついたら歯がグラグラして抜けそうになっていた、なんてことも珍しくありません。
予防歯科に定期的に通うことで、むし歯で痛い思いをする前に、また削る量が少ないうちに治療することができます。また歯周病の主な原因である歯石を取り除くことで、歯周病が進行しにくい状態を作り、維持することができます。
歯は一度失うと二度と元には戻りません。むし歯治療で歯を削ることは歯の寿命を縮めます。いかに歯を削ることなく健康な状態を長く維持するかが大事です。歯を失えば失うほど食べられるものが減り、食事の楽しみは半減します。食事の楽しみはQOL(生活の質)において非常に重要な要素であることは言うまでもありません。
そのためにも予防歯科で今ある健康な歯を守りましょう。
予防歯科では仕上げにPMTCを行います。PMTCとは専用の薬品とブラシで歯を徹底的に清掃することです。歯の表面に付着した、飲食物の着色汚れが落ち、歯も明るくつややかになり、見た目も綺麗になります。
早期にむし歯を発見できることで、痛みに苦しむ前に治療を受けることができます。また小さいむし歯は治療時の痛みもほとんど感じず、麻酔を使用しないことが大半です。費用や時間も少なくて済みます。
超高齢社会となった日本。平均寿命は男女とも80歳を超えています。今後の大きな課題は、介護に頼らず、自分で最低限の生活ができる「健康寿命」を延ばすことです。歯の残存本数が多いほど、健康寿命が長くなることが近年の研究で明らかになってきました。
歯の残存本数が少ない人ほど、脳の海馬や前頭葉の容積が小さくなり、認知症のリスクが高まることが分かっています。また残存本数が20本未満で、入れ歯等を入れていない高齢者は認知症のリスクが約2倍になるという研究もあります。
むし歯や歯周病は口の中だけでなく、全身の病気の発症や進行にも影響を与えます。
高齢者に多い誤嚥性肺炎は、歯周病菌が肺に侵入して発症します。また、歯周病菌の毒素により動脈硬化が引き起こされ、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。さらに歯周病と糖尿病とは相互に悪影響を及ぼすことが分かっています。
予防歯科の定期検診は費用の負担はあるものの、年に数回ほどです。むし歯や歯周病になると治るまでに何度も通院しないといけません。むし歯や歯周病は定期検診よりも費用と時間がかかります。
また予防歯科を行うことで、歯科だけでなく全身の病気を予防することにつながり、将来的な医療費の負担も大幅に軽くなります。
予防歯科の治療内容は検査・診断、プロフェッショナルケア、メインテナンスに分かれます。それぞれ見ていきましょう。
まず口腔内全体のレントゲン撮影を行います。このレントゲン写真により、直接見ることができない部分が確認できるため、より正確な診断が可能になります。お口の中の肉眼所見とレントゲン所見を照らし合わせ、むし歯や歯の根の炎症を見つけだします。
次に歯周病の検査を行います。歯茎の炎症や歯槽骨の状態を器具やレントゲンを用いて進行度合を確認します。
スケーリングとは歯石を除去することです。超音波スケーラーという、振動を利用して歯石を分解して除去する器具を使用します。
PMTCとは(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)の略です。国家資格を持った歯科医師または歯科衛生士が専用の器具や薬品を用いて歯の清掃を行うことです。
プロが機械を使って、普段の歯みがきでは落としきれない汚れを徹底的に除去します。汚れを落とした後には、歯を滑らかに磨き上げることで、着色汚れや歯垢の再付着を防ぐことで、予防効果を発揮します。
お口の環境や歯の性質は一人ひとり違い、その人に合ったブラッシング方法や歯ブラシの選び方があります。最適なブラッシング方法のアドバイスを受け、正しいブラッシングをマスターし日々実践することが、予防歯科において最も大切と言えます。
フッ素は歯の構造を強くしたり、初期のむし歯を修復したり、むし歯菌の力を弱めたりする作用があり、むし歯予防に大きな効果が期待できます。
上記の処置を定期的に行います。来院する頻度は月に1回から半年に1回程度で、患者さん一人ひとりのお口の中の状態により決定します。
予防歯科の第一歩として普段の生活習慣、家でできるセルフケアを紹介します。
習慣は人から指摘されて気づくものも多いです。とくに「歯ぎしり」は家族や歯科医に指摘されるまで気づきません。ここでは主に3つの改善すべき習慣について説明します。
ダラダラ食べはむし歯の原因になります。飲食物に含まれる糖分を栄養にして、むし歯菌は歯の表面を溶かし始めます。テレビなどを見ながらダラダラ食べ続けることで、たとえ少量でもお口の中は常に糖分が含まれることになり、歯は溶け続けてしまいます。これは甘いジュースやスポーツドリンクも同様です。食事やおやつはメリハリをつけて摂取することが大切です。
食いしばりや歯ぎしりは歯にとても大きな負担がかかり、歯に痛みが出たり、歯がすり減ったりと悪影響を及ぼします。
食いしばりは意識することで防ぐことができますが、歯ぎしりは自分では防ぐことができません。対策は専用のマウスピースを就寝時に装着するしかありません。マウスピースは保険適用となります、お気軽に相談ください。
口呼吸をしていると、口の中はずっと乾燥し、細菌が繁殖しやすくなります。そのため風邪やインフルエンザなどの感染症はもちろん、むし歯や歯周病にもかかりやすくなります。
昼間はできるだけ「鼻呼吸」を意識しましょう。
お家でできるセルフケアについて紹介します。歯磨きはもちろんのこと、デンタルフロス・歯間ブラシも併用するのをおすすめします。
歯ブラシは使い心地がよく、ヘッドの大きさは小さいもの、ブラシの硬さはふつうかやわらかいブラシを選びましょう。理想的には1日3回、毎食後に歯を磨くことですが、それが難しい場合は最低でも1日2回、朝と夜に丁寧に時間をかけて磨きましょう。
いくら丁寧に磨いても、歯ブラシだけでのブラッシングでは、歯垢は60%ほどしか除去できません。とくに狭い歯の隙間には、デンタルフロスや歯間ブラシなどの使用が不可欠です。
予防歯科について説明しました。予防歯科とは口の中の病気が悪化しないように検査と治療を行うことです。
認知症、糖尿病、脳梗塞や心筋梗塞にも関係すると言われている歯周病。定期的にメインテナンスを行うことでリスクを減らします。
また80歳以上で自分の歯を20本以上残すと、健康寿命を延ばすことにつながるため予防歯科は大事です。一度予防歯科を受診してみましょう。
しろくま歯科では健康寿命を延ばすためにMI治療を行います。MIとはMinimal Interventionの略で「最小限の侵襲」という意味です。できるだけ歯を削らず、神経を残し、生まれ持った歯を大切にしようという治療法です。しろくま歯科ではMIの原則に沿って虫歯になった部分だけを削り、そこに白い詰め物(コンポジットレジン)を歯に直接充填します。MI治療について詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。